「え、もしかして打ち切り…?」障害年金がもらえなくなるのはどんな時?不安を解消する「打ち切り対象者」と対策
「障害年金をもらっているけど、いつまでもらえるんだろう?」
「もし途中で打ち切られたらどうしよう…」
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に制限がある方にとって、とても大切な生活を支える柱となる制度です。しかし、「ずっともらえるわけではない」という話を聞いて、不安に感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。
ご安心ください!この記事では、障害年金が「打ち切り」となる可能性のあるケース(=打ち切り対象者)を具体的に解説し、もしそうなってしまった場合の対処法や、そもそも「打ち切り」にならないための対策まで、あなたの疑問をぜ〜んぶ解決しちゃいます!これを読めば、もう漠然とした不安を抱えることなく、安心して障害年金を受給できるはずです。
そもそも「障害年金」ってずっともらえるの?
障害年金には、「永久認定」と「有期認定」の2種類があります。
- 永久認定: 障害の状態が将来にわたって変わらないと判断される場合(例:手足の切断、人工関節置換、失明など)に認定されます。この場合、基本的に更新の手続きは不要で、生涯にわたって年金を受け取ることができます。
- 有期認定: 障害の状態が将来的に変化する可能性があると判断される場合(例:精神疾患、がん、難病など)に認定されます。この場合、1年から5年の範囲で、定期的に「更新」の手続きが必要になります。
ほとんどのケースは「有期認定」であるため、定期的な更新手続きが必須となります。この更新の際に、障害の状態が変化したと判断されると、年金が「支給停止」(実質的な「打ち切り」)になる可能性があるのです。
障害年金が「打ち切り」になるのはどんな時?主な3つのケース
それでは、具体的にどのような場合に障害年金が打ち切り(支給停止)の対象となるのでしょうか。主なケースは以下の3つです。
1.障害状態が改善したと判断された場合(最も多いケース)
これが最も多い「打ち切り」の理由です。更新の際に提出する診断書の内容や、これまでの治療経過から、障害の程度が障害年金の支給基準に該当しなくなったと判断されると、支給停止となります。
- 精神疾患の場合:
- 症状が著しく改善し、日常生活や労働に大きな支障がなくなったと判断されることがあります。例えば、以前はひきこもっていたが、現在は規則正しく通勤できている、といった変化は、改善とみなされる可能性が高まります。
- ただし、症状には波があり、一見すると安定しているように見えても、実際には家族や周囲のサポートが不可欠であったり、無理をしているケースも多いです。こうした背景が診断書に適切に反映されていないと、軽く判断されてしまうことがあります。
- 身体障害の場合:
- 手術やリハビリテーションによって身体機能が大幅に回復し、日常生活での制限が軽減されたと判断されることがあります。
2.「障害状態確認届(診断書)」を提出しなかった・遅れた・不備があった場合
更新の時期(通常、誕生月の3ヶ月前)になると、日本年金機構から「障害状態確認届(診断書)」の用紙が送られてきます。これを医師に作成してもらい、期限までに提出する必要があります。
- 提出しなかった: 期限までに提出しないと、年金が一時的に「差し止め」となり、最終的に支給停止となります。
- 提出が遅れた: 差し止めになった後でも提出すれば支給が再開される可能性がありますが、再開までに時間がかかります。
- 記載内容に不備があった: 記載漏れや、状況が正確に伝わらない内容の場合、審査がスムーズに進まず、不利な判断をされてしまうことがあります。
3.20歳前傷病による障害基礎年金の「所得制限」に引っかかった場合
障害年金のうち、**20歳前に初診日がある障害基礎年金(障害厚生年金には原則として所得制限はない)**にのみ、本人の所得による支給制限があります。
- 所得額の基準:
- 前年の所得が一定額(例えば扶養親族がいない場合で3,704,001円以上)を超えると、年金の一部(2分の1)が支給停止となります。
- さらに所得が増え、一定額(例えば扶養親族がいない場合で4,721,000円以上)を超えると、年金の全額が支給停止となります。
- 扶養親族がいる場合は、所得制限額が加算されます。
- 注意点:
- この所得制限は、「20歳前傷病による障害基礎年金」にのみ適用されます。厚生年金に加入中に初診日があった場合は、障害厚生年金に所得制限はありません。
その他の支給停止のケース
- 海外居住や矯正施設(刑務所など)に入所した場合: 20歳前傷病による障害基礎年金の場合、これらの理由でも支給が停止されることがあります。
- 他の年金を受給できるようになった場合: 65歳以上で老齢年金も受給できるようになった場合、どちらかの年金を選択する必要があります。
「打ち切り」を回避するための具体的な対策!
では、大切な障害年金が打ち切りにならないためには、どのような対策をすれば良いのでしょうか。
1.「障害状態確認届(診断書)」の準備は慎重に!
これが、支給継続の最も重要なポイントです。
- 早めに医師に作成を依頼する: 誕生月の3ヶ月前に用紙が届いたら、すぐに主治医に相談し、作成をお願いしましょう。医師も多忙なため、余裕を持ったスケジュールで依頼することが大切です。
- 医師に現状を正確に伝える:
- 診察時間が短く、医師に十分に症状や日常生活の困難さが伝わらないと感じる場合は、伝えたいことをメモにまとめて持参しましょう。
- 日常生活で具体的に困っていること(例:着替えに時間がかかる、公共交通機関を一人で利用できない、買い物ができない、入浴が週に〇回しかできない、など)を詳細に伝えましょう。
- 家族や周囲のサポートがないと生活が成り立たない状況であれば、そのことも具体的に伝え、家族に診察に同行してもらうのも有効です。
- 症状に波がある場合は、「良い時と悪い時があること」「調子が悪い時は何ができないか」などを伝えましょう。
- 診断書の内容を必ず確認する: 出来上がった診断書は、提出前に必ずご自身で内容を確認しましょう。もし、ご自身の現状と異なる記載や、重要な情報の漏れがある場合は、遠慮なく医師に訂正や加筆をお願いしましょう。
- 「日常生活状況申立書」を添付する: 診断書だけでは伝えきれない、普段の生活での苦労や困難な状況を、ご自身で詳しく記載した書類(日常生活状況申立書)を添付することが非常に重要です。審査官は診断書だけでなく、この申立書も参考に総合的に判断します。
2.就労していても、その状況を正確に伝える!
「働いていると障害年金は打ち切られる」という誤解がありますが、**障害年金は働きながらでも受給できます。**厚生労働省の統計でも、多くの障害年金受給者が就労しています。
ただし、就労状況は審査に影響を与えることがあります。
- 障害者雇用か一般雇用か、短時間勤務かフルタイムか: 障害に応じた配慮を受けているか、通常の勤務が可能か、などを正確に記載してもらいましょう。
- 職務内容や収入: 健常者と同じような職務内容で、同じような収入を得ている場合は、「障害の程度が軽減された」と判断されるリスクがあります。
- 配慮を受けていること: 職場でどのような配慮(例:週休3日制、休憩が多い、残業なし、上司や同僚のサポートが必須など)を受けているのかを具体的に伝え、診断書や申立書に記載してもらいましょう。
- 就労支援施設の利用: 就労支援施設を利用している場合は、その旨も記載してもらいましょう。
3.専門家(社会保険労務士)に相談する!
障害年金の手続きは複雑で、特に更新時の診断書作成は専門知識が必要となります。
- 正確な診断書作成のサポート: 医師にどのように症状を伝えれば良いか、診断書に何が記載されるべきかなど、専門的な視点からアドバイスを得られます。
- 申立書の作成支援: ご自身の状況を最も効果的に伝えるための申立書の作成をサポートしてもらえます。
- 年金事務所とのやり取り: 手続きの代行や、日本年金機構との交渉を任せられます。
- 不服申立ての支援: もし万が一支給停止の通知が来てしまった場合でも、審査請求や再審査請求といった不服申立ての手続きをサポートしてもらえます。
不安な点があれば、早めに障害年金専門の社会保険労務士に相談することをおすすめします。無料相談を実施している事務所も多いので、まずは相談してみるのも良いでしょう。
もし「打ち切り」になってしまったら?支給再開への道
万が一、障害年金が支給停止になってしまっても、受給する権利が完全になくなったわけではありません。諦めずに再開の手続きを検討しましょう。
- 「支給停止事由消滅届」と新しい診断書を提出する: 障害の状態が再度悪化し、支給基準に該当する状態に戻ったと判断されれば、年金の支給が再開されます。
- 審査請求・再審査請求を行う: 支給停止の決定に納得できない場合、通知を受け取った日から3ヶ月以内に、審査請求や再審査請求を行うことができます。これは、決定の妥当性をもう一度審査してもらう手続きです。時間と労力がかかりますが、認められれば支給停止になった時点まで遡って年金を受け取れる可能性があります。
これらの手続きも複雑なため、社会保険労務士などの専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。
まとめ:不安に負けず、適切な対策で安心して障害年金を受給しよう!
障害年金が打ち切りになる可能性があるのは、主に「障害状態の改善」と「診断書の不備」、そして「20歳前傷病の所得制限」です。
- 更新時の診断書は最も重要! 医師に現状を正確に伝え、必要に応じて「日常生活状況申立書」を添付しましょう。
- 働いていても大丈夫! ただし、就労状況や受けている配慮を正しく伝えることが大切です。
- 不安な時は迷わず専門家へ相談! 社会保険労務士はあなたの強い味方です。
障害年金は、あなたの生活を支える大切な制度です。不安に感じることがあれば、一人で抱え込まず、適切な情報を集め、必要な対策を講じて、安心して受給を継続していきましょう。