土地売買における「評価額」と「売却価格」の関係
「土地の評価額の何倍で売れるの?」という疑問は、土地の売却を検討している多くの方が抱くものです。結論から言うと、土地の評価額と**売却価格(実勢価格)**はイコールではありません。しかし、それぞれの関係性を理解すれば、売却価格の目安をある程度計算できます。
土地の「評価額」は5種類ある
まず、土地にはいくつかの「評価額」が存在し、それぞれ目的や基準が異なります。売却価格との関係を理解するためには、特に以下の3つを知っておきましょう。
固定資産税評価額:
固定資産税や都市計画税などの税金を計算するための基準となる価格です。
**公示地価の約70%**が目安とされています。
市町村が3年に一度見直しを行います。
路線価:
相続税や贈与税を計算するための基準となる価格です。
**公示地価の約80%**が目安とされています。
国税庁が毎年発表します。
公示地価(公示価格):
土地取引の目安となる、公的な土地の価格です。
国土交通省が全国の基準地点の価格を毎年発表しています。
これらの評価額は、あくまでも公的な目的のために算定されたものであり、実際の市場価格、つまり「売却価格(実勢価格)」とは異なります。
売却価格(実勢価格)は評価額の何倍?
一般的に、土地の売却価格(実勢価格)は、公示地価の1.1倍から1.2倍が目安とされています。
この関係を利用して、手元にある評価額から売却価格の目安を計算することができます。
固定資産税評価額から計算する場合:
売却価格の目安 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1
固定資産税評価額が3,000万円の場合、約4,700万円が目安になります。(3,000万円 ÷ 0.7 × 1.1 = 約4,714万円)
路線価から計算する場合:
売却価格の目安 = 路線価 × 土地面積 ÷ 0.8 × 1.1
これらの計算式で算出される価格は、あくまで「目安」です。
売却価格は様々な要因で変動する
計算上の目安があるとはいえ、最終的な売却価格は以下の要因によって大きく変動します。
立地条件:駅からの距離、周辺の利便性(スーパー、病院など)
土地の形状:間口の広さ、整形地か不整形地か
需要と供給:その地域の人気度、売りに出されている物件の数
市場の動向:景気や不動産市場全体のトレンド
まとめ:大切なのは、正確な「査定」
「評価額の何倍」という計算は、あくまでおおよその目安を知るためのものです。実際に土地を売却する際は、複数の不動産会社に査定を依頼し、現在の市場価格を正確に把握することが最も重要です。
不動産のプロは、あなたの土地の個別の条件や市場の動向を考慮して、最も高く売れる価格を提示してくれます。