家事代行サービスを福利厚生費にする!税務上のポイントを解説
「社員に家事代行サービスを提供して、福利厚生にしたい」
「家事代行費って、経費になるのかな?」
働き方が多様化する現代において、社員の家事の負担を減らす家事代行サービスは、従業員満足度を高める新しい福利厚生として注目されています。
しかし、税務上、家事代行費を**「福利厚生費」**として計上するためには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。
今回は、家事代行サービスを福利厚生費として扱うための税務上のポイントと、具体的な条件について解説します。
1. 「福利厚生費」として認められるための大原則
税務上、家事代行費が福利厚生費として認められるためには、以下の2つの大原則を満たさなければなりません。
全従業員を対象としていること
特定の役員や社員だけでなく、正社員、パート、アルバイトなど、すべての従業員が公平に利用できるように制度を設計する必要があります。一部の社員に限定してサービスを提供した場合、その社員に対する給与(現物給与)と見なされ、所得税の課税対象となるリスクがあります。
社会通念上、常識の範囲内の金額であること
一人あたりの負担額が、社会通りの常識的な範囲内である必要があります。極端に高額なサービスを提供した場合、給与と判断される可能性が高まります。具体的な金額の基準は明記されていませんが、一般的には、他の福利厚生費(食事補助など)と比べて著しく高額でないことが求められます。
この2つの条件を満たすことで、**「会社の事業を円滑に進めるための費用」**と認められ、福利厚生費として経費計上することが可能になります。
2. 具体的な家事代行サービスの提供方法
福利厚生として家事代行サービスを導入する場合、主に以下の2つの方法があります。
① 会社が直接、業者と契約し、サービスを提供するケース
会社が家事代行業者と法人契約を結び、従業員は会社の用意したサービスを利用します。
この場合、利用時間や利用回数に上限を設けるなど、公平な利用を担保する仕組みが必要です。
メリット:
従業員は自己負担なく、または低額でサービスを利用できるため、満足度が高い。
会社が利用状況を把握しやすい。
注意点:
全従業員が利用できるように制度を整える必要があります。例えば、「〇〇部署の社員限定」といった利用制限は、福利厚生費として認められないリスクがあります。
② 従業員が支払った費用を会社が補助するケース
従業員が家事代行サービスを個人的に利用し、その費用の一部または全額を会社が補助金として支払う方法です。
この場合も、補助金の支給額に上限を設ける、全従業員に補助の機会を与えるなど、公平性を確保する必要があります。
支給方法によっては、給与と判断される可能性もあるため、制度設計には慎重な検討が必要です。
3. 給与(現物給与)と判断されるリスク
上記の条件を満たさない場合、家事代行費用は給与と判断され、以下のリスクが発生します。
従業員側のリスク: 補助された家事代行費用が所得とみなされ、所得税や住民税の課税対象になります。
会社側のリスク: 源泉徴収義務が発生し、適切に処理しなかった場合、追徴課税などのペナルティを受ける可能性があります。
まとめ:専門家への相談が一番安心
家事代行サービスを福利厚生費として計上するためには、**「全従業員に公平に」「社会通念上妥当な金額で」**という2つの原則を守ることが最も重要です。
新しい福利厚生を検討されている場合は、税務上のリスクを避けるためにも、事前に税理士や社労士などの専門家に相談することを強くおすすめします。
社員の満足度向上と会社の健全な経営のために、正しい知識を持って制度を設計していきましょう。